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2005年12月29日アーカイブ

やっちゃった?

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 嫁さんが購読しているメルマガ。

 件名:あけましておめでとうございます。「送料無料キャンペーン」のお知らせです。

 あけましておめでとうございます。
 オンラインコスメショップの「**********」です。
 今年最初の企画は「送料無料キャンペーン」!!
 開催期間: 12/31 13:00~ 1/3 13:00
 商品お買い上げ6000円以上で全国一律
 送料無料とさせて頂きます。
 今年も何卒よろしくお願いいたし…


 52分後…

 件名: 「メール誤送信のお詫び」**********

 先ほど、当店から1月1日に送信予定の
 「あけましておめでとうございます」の
 グリーティングカードを誤って送信して
 しまいました。
 ご迷惑なメールを送信しましたことを
 深くお詫び申し上げます。

 別に迷惑じゃ無いけど。(*^o^*)
 焦っただろうなぁ…

 05年9月くにさき半島より
 今年も色々な事がありましたね。
 嬉しかった事や悲しかった事。
 楽しかった事や苦しかった事。
 私はひとつ歳を重ね涼しくなる頭と共に又おじさんになりました。

 16歳のある蒸し暑い夏の夜。兄貴の車の助手席で走った国道171号線。
 吸い込まれるようなヘッドライトの光りが目の中に飛び込んだ瞬間。
 時間が止まりました。

 「涎(ヨダレ)?」

 対向車との正面衝突。
 涎かと思った液体は全て自身の血だと理解するのに少し時間がかかりました。
 口を閉じても次から次へとあふれ出る液体に恐る恐る頬を触りました。
 触った感覚はありませんでしたが,頬が裂け口の中まで貫通した穴が開いていました。
 そのまま目を開ける事も,動く事も出来ず,どれほどの時間が経過したでしょうか。
 暗闇の中ドクっ…ドクっ…という自分の心臓の音だけが頭の中に流れていました。

 誰かが車のドアを開け。
 「大丈夫ですか?」
 「はい…」
 手を引かれ,目を瞑ったまま私が車外に出た瞬間,野次馬の喧噪に混じって。

 「悲惨…」

 パニックに陥る相手のドライバー。
 訳の分からない事を叫びながら。

 「死…」

 という単語が聞こえた事を今でも覚えています。
 結局,私があなたのお顔を拝見する事は一度もありませんでした。

 サイレンの音と無線の声を遠くで感じながら,蒸し暑かったはずなのに寒くて…寒くて…
 ブルブル震えていました。

 手術室のライトの温かさを感じながら,気の遠くなるような時間。
 瞼が裂け,耳が裂け,頬が裂け,舌が裂け,歯が砕ける顔面裂傷。
 後から見せて貰った警察の写真にはフロントガラスもダッシュボードも何も無かった。

 顔面右半分だけで「108針」の縫合。
 警察からの連絡で飛んできた両親。
 「お兄さんは軽傷ですが…弟さんは…」

 手術中。何度も…何度も…「痛い!」と叫びました。
 看護婦さんの叱咤に,痛さよりも情けなさで涙が出ました。
 
 パンパンに腫れ上がった顔で最初の診察後。
 母親が私のところにやってきて。

 「瞼の上の傷が深く。右目は失明,左目も何とも言えない。」

 と涙ながらに。
 悲しいというよりも母親が泣いている姿が照れくさくて。
 冷たく返事をした事を少し後悔しています。

 退院後初めてひとりでバスに乗った時。

 「視線が痛い!」

 という言葉を理解しました。

 2年後,舌の中から出てきた血の付いたパチンコ玉程のガラス片で新聞紙を切って,周りの友達に嬉しそうに自慢した事を覚えています。

 あれから18年…

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